スポンジブラシを使った口腔ケアでできることとは?介護者が知っておきたい機能について
2022.04
スポンジブラシは、高齢者や要介護者のデリケートでトラブルを多く抱える口腔内を優しくケアできる口腔ケアグッズ。実は「汚れを取る」だけでなく、様々な効果的な使い方があります。そこで今回は、介護者が知っておきたいスポンジブラシを使った口腔ケア方法について詳しく紹介します。
スポンジブラシとは?
スポンジブラシは、歯ブラシのブラシ部分がスポンジ素材になっている口腔ケアグッズ。スポンジの形状や大きさ、やわらかさはさまざまで、口腔内の状態や好み、さらに利用シーンに合わせて使い分けるのがおすすめです。
スポンジブラシの活用法
ここからは、スポンジブラシの3つの活用法を順にご説明します。それぞれのシーンの使い方、おすすめのタイプも紹介します。
①汚れを除去する
<おすすめのシーン>
スポンジブラシは粘膜を傷つけにくいため、口腔粘膜が弱っている方、食べかすや痰などが口の中に残りやすい方のケアに適しています。水だけでも、歯磨き剤と合わせても使用可能です。
<おすすめのタイプ>
歯ぐき、上あご、舌、頬粘膜と歯の間、舌と歯の間、くちびるの内側など、歯ブラシではケアしにくい場所にしっかりと届いて汚れをかき出してくれる、先細タイプや凹凸があるタイプがおすすめです。口が大きく開けられない方には、小さめのスポンジを選びましょう。
<使い方>
奥から手前に向かって動かし、汚れをかき出します。奥に向かって動かすと、汚れを押し込んでしまったり、誤嚥(ごえん)の原因になったりするので注意してください。
②お口を潤す(保湿)
<おすすめのシーン>
口腔ケアに乾燥は大敵です。粘膜やくちびるが乾いてひび割れていると、ケア中に痛みが出たり、切れて出血したりとトラブルにつながります。そこで、口腔ケアの最初と最後にスポンジブラシで潤いを与えることで、痛みを軽減し、出血を予防、汚れも落としやすくなります。うがいがうまくできない方、むせやすい方、口を自分で潤せない方へのケアに適しています。
<使い方>
スポンジブラシに水をポタポタ垂れない程度に含ませ、お口の中とくちびるを潤します。保湿剤を塗布する場合は、スポンジ部分に適量(2cm程度)を乗せて、口腔内にまんべんなく塗ります。
<おすすめのタイプ>
スポンジ部分にくぼみがあるタイプは、保湿剤を適量乗せられ、垂れずに済むためおすすめです。また、幅広タイプは口腔内に均一に広げやすく、効率的に保湿できます。
③マッサージやストレッチ
<おすすめのシーン>
スポンジブラシで優しく舌や頬、くちびるなど口腔内を刺激することで、唾液の分泌を促す効果があります。また、口腔内の筋力アップや機能向上も期待できます。
清掃のついでに行えるため、意識していつものケアにマッサージやストレッチの動きを取り入れてみましょう。
<各パーツへの効果>
各パーツを刺激すると、具体的に次のような効果があります。
- 頬……お口まわりの筋肉、頬の筋肉の動きが良くなります
- くちびる……飲み込む運動を促し、口腔内の感覚を高め、唾液の分泌を促進します
- 上あご下あご……歯茎に刺激を与えることで、血行が良くなります。
- 舌……舌の筋肉が強化され、唾液腺も刺激されます。そのため口呼吸を改善することが可能です
<おすすめのタイプ>
狭い場所も刺激できるよう、先細タイプがおすすめです。また、凹凸があるタイプだと気持ち良い刺激が伝わりやすいでしょう。
高齢者のお口のケアを助ける「スポンジブラシ」とは? 介護での使用方法も
スポンジブラシの使用上の注意点
幅広い用途があるスポンジブラシですが、以下の点に注意することも必要です。
- 歯を磨くことはできません。歯磨きには歯ブラシを使いましょう。
- スポンジ部分の柔らかさに比例して、汚れが落ちにくくなる傾向にあります。
- 使用中に、スポンジが軸から外れる場合があります
- 汚れが付いたら、その都度清潔な水でゆすぐ必要があります
- スポンジブラシは1回きりの使用が基本です。再利用はできません。
- 痛み、吐き気、不快感があった場合には、すぐに使用を中止しましょう
まとめ
スポンジブラシを使用した口腔ケアは、手間も費用もさほどかからず、高い技術も必要としないため、取り入れやすいグッズです。また、痛みや不快感を軽減することができるグッズの一つなので、要介護者の口腔状況に応じて様々な使い方ができるのも魅力の一つ。汚れの除去から保湿、ストレッチやマッサージまでトータル的にケアすることが、より質の高い生活の一助となります。まずはスポンジブラシなどからケアの一貫に取り入れてみましょう。