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オーラルディスキネジアへの理解を深めよう!歯科医師・歯科衛生士ができる治療や口腔ケアの方法を紹介

2023.10

みなさんこんにちは!歯科衛生士の久保です。
今回のテーマは、訪問歯科に携わる医療従事者がしばしば対応を求められる疾患「オーラルディスキネジア」です。

ディスキネジアとは、身体の一部が自分の意思とは関係なく動いてしまう「不随意運動」のことで、これが口腔周囲に生じたものをオーラルディスキネジアと呼びます。

オーラルディスキネジアの症状

  • 口や顔の筋肉が自分の意志に反して不規則に動きます。具体的には、口唇のひきつり、舌の出し入れ、口を開閉する動作などが含まれます。
  • 不規則な筋肉運動があるため、唇や舌がチュルチュルと音を立てて動くことがあり、特に食事中や発声時に顕著です。
  • 顔の筋肉が不規則にひきつり、表情が変化しやすくなります。

オーラルディスキネジアの原因

オーラルディスキネジアは薬物の副作用で発現することが多く、特に向精神薬やパーキンソン病の治療薬がその原因として挙げられています。
これらの薬物が神経伝達物質のバランスを変え、口や顔の筋肉の制御を乱すことで不随意運動が生じます。長期間の薬物使用後に発症することが多いのも特徴です。
薬が原因と判断される場合、可能な範囲で減薬を試みて対処することもあります。

しかし、オーラルディスキネジアは原因が不明であることも少なくありません。
上記のような薬を使用していなくても、高齢者や持病のある方にオーラルディスキネジアが発現することがあります。
この場合、原因の特定や症状のコントロールは難しく、オーラルディスキネジアに寄り添ったケアが重要になります。

オーラルディスキネジアが引き起こす問題は?

①歯の摩耗や口腔内粘膜の損傷

口の不随意運動によって咬合力の制御ができず、歯が摩耗しやすくなったり、補綴物の破損につながったりする場合があります。
また、頬粘膜や口唇を誤って噛んでしまうことで潰瘍が生じるリスクもあります。

②言語障害

舌や唇の不規則な動きが話す能力に影響を及ぼすことがあり、言葉が不明瞭になることがあります。

③摂食・嚥下機能の低下

口や筋肉の不規則な運動により、食べ物の咀嚼や嚥下が難しくなることがあります。
食事の適切な摂取が困難な場合、栄養不良や体重減少などの全身的な健康問題が発生する可能性があります。

④顎関節の問題

咀嚼運動の異常により顎関節に負担がかかり、顎関節症状を引き起こす可能性があります。

歯科医療に携わる私たちができること

①補綴物の作製や修復・咬合調整

歯の摩耗が進行している場合は、補綴や修復、全体的な咬合調整を行って咬合力を均等に分散させ、歯を保護することが重要です。
また、義歯を使用されている場合は調整や再作製を行うことで自然な噛み合わせを促します。

使用が可能であればマウスガードを作製するのも良いでしょう。歯を温存するとともに、顎関節症状の軽減も期待できます。

②負担が少なく効果的な口腔ケア

オーラルディスキネジアの患者様は開口をキープすることが困難なため、短時間で効果的な口腔ケアを提供する必要があります。
以下に具体的な方法をご紹介していきます。

  • 開始時に保湿ジェルを活用
  • オーラルディスキネジアの患者様は、口腔内が乾燥している場合があります。
    口腔ケアの導入として保湿ジェルを使用することで、乾燥や不快感を軽減し、気持ちよくケアを開始することができます。

    少量の保湿ジェルを指に取り、歯肉、舌、口腔粘膜全体に均等に塗布します。また、必要に応じてジェルを何度か追加して口腔内を保湿します。
    保湿ジェルは垂れにくく潤いが持続するタイプを選択すると、誤嚥を予防したスムーズなケアが可能です。

  • スポンジブラシで効果的に清掃する
  • 歯や歯肉、粘膜まで1本で清掃できるスポンジブラシはぜひ活用してみてください。
    柔らかい素材で耐久性があるもの、1本で様々な部位に使用できるものを選ぶと、ケアの効率がぐっと上がります。

  • フッ素入りの歯みがき剤で予防するケアを
  • 歯みがき剤はフッ素を含むものを選び、むし歯や歯周病の予防に努めましょう。
    水で流す必要がない歯みがき剤であれば、うがいの負担や誤嚥のリスクが抑えられます。

③摂食嚥下機能の訓練

舌や唇の体操やマッサージを行いながら、摂食嚥下機能の改善をはかることも大切です。
訓練中に甘いフレーバーがプラスされた保湿ジェルを利用して、患者様の意識を口腔に向けてもらうのも効果的です。

また、栄養士や看護師と共に患者様の食事の調整や栄養サポートを提供する場に立ち合い、チームの一員として口腔機能面に関する所見やアドバイスを伝える役割もぜひ担ってみてください。
患者様が安全に経口摂取を行うためには、歯科領域の関与が不可欠です。

まとめ

いかがでしたか?
オーラルディスキネジアは根本的な解決が難しい疾患です。
症状がある場合でも口腔内を健康に保てるよう、患者様に寄り添ったケアを継続して提供することが大切です。
今回のコラムを参考に、ぜひオーラルディスキネジアの患者様に対する理解を深めていただければ嬉しいです。