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できるだけ要介護者自身で歯磨きを、介助者はどこまで手伝えばいいの?

2022.09

正しい歯磨きで口腔環境を清潔に保つことは、お口だけでなく、全身の健康維持に関わるためとても重要です。しかし、要介護者が介助を必要とするレベルには個人差があり、「どこまでやってあげるのが正解なの?」と迷っている介助者も少なくありません。

今回は要介護者が歯磨きを自分でやるメリット、要介護のレベルに応じた介助者のサポート、介助をするときのポイントを紹介します。

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要介護者が自分で歯磨きを行うメリット

要介護者は、思い通りに体を動かせないケースが多く見られます。そのため、痛みやもどかしさから「自分で歯磨きをやろう」という意欲が低くなりがちで、依存傾向が強いと言われています。
しかし、本当ならできることも介助者にやってもらっていると、残っていた機能も低下していき、より要介護レベルが上がってしまうリスクがあります。

自分で歯磨きができる方には、たとえ時間がかかっても、できるところまでは自分でやってもらいましょう。今ある機能が維持できるのはもちろん、「自分でまだできる」という自負ややる気につながり、精神の健康にも効果的です。

介助者は要介護のレベルに応じたサポートを
歯磨きにおける要介護のレベルは3つに分けられます。要介護者の状態と、それに応じた介助者のサポート内容を紹介します。

軽度の場合

  • 要介助者の状態・・・自分で歯ブラシを持って、一通り歯を磨くことができる。
  • 介助者のサポート・・・歯間ブラシやフロスなどで細かい部分を清掃。

中等度の場合

  • 要介助者の状態・・・自分で歯ブラシを持てるものの、麻痺や痛みなどにより軽度の方よりかは歯磨きの精度が落ちる。
  • 介助者のサポート・・・仕上げ磨きを行い、磨き残しているところや不得意な部分を清掃。その後、細かい清掃を行う。

高度の場合

  • 要介助者の状態・・・意識障害や手指の機能障害がある、重症で体力がないなど、自分で歯ブラシを持つことが難しい。または、お口の環境がかなり悪化している。
  • 介助者のサポート・・・清掃前にお口の状態を丁寧にチェックして、問題に合ったケアを実施。その後、歯磨きを行う。
レベル 要介護者の状態 介助者のサポート
軽度 自分で歯ブラシを持って、一通り歯を磨くことができる。 歯間ブラシやフロスなどで細かい部分を清掃。
中等度 自分で歯ブラシを持てるものの、麻痺や痛みなどにより軽度の方よりかは歯磨きの精度が落ちる。 仕上げ磨きを行い、磨き残しているところや不得意な部分を清掃。その後、細かい清掃を行う。
高度 意識障害や手指の機能障害がある、重症で体力がないなど、自分で歯ブラシを持つことが難しい。または、お口の環境がかなり悪化している。 清掃前にお口の状態を丁寧にチェックして、問題に合ったケアを実施。その後、歯磨きを行う。

介助者が歯磨きをサポートするときの注意点
介助者は歯ブラシで歯を磨く以外にも、歯磨きシーンでできるサポートがあります。要介護者の状態に応じて少し工夫するだけで、自立を促せるのでおすすめです。

状態に合った歯ブラシを用意する

麻痺などで歯ブラシをうまく握れない方には、握力が弱くても持てるように持ち手部分が工夫された「介護用歯ブラシ」を用意するといいでしょう。また、口が大きく開かない方には、ヘッドが小さめのタイプがおすすめ。歯ぐきや歯の状態に合わせて、硬さも選んであげてください。

声がけをする

歯磨きをしている間は、アドバイスをしたり、うまくできているときは褒めたりして、タイミングに応じて声をかけることが大切です。
声がけには、リラックスを促し、要介護者の気持ちに寄り添う効果が期待できます。また、事前に介助する内容を説明しておくと、要介護者が安心してくれるため、協力を得られやすくなります。

安全性に配慮する

介助する内容が、本当に要介護者に合っているかをよく確認しましょう。判断を誤ると、要介護者の口腔環境がさらに悪化したり、今ある機能が衰えたりしてしまいます。
また、歯磨き中の要介護者の姿勢にも気を配りましょう。楽な姿勢をキープできていると、歯磨きに集中できますし、食べかすや水の誤嚥も防げます。

まとめ

歯磨きは、介助者が最初から最後まで全部やってあげたほうが場合によっては効率的かもしれません。しかし、残っている機能を守り、現在の介護状態をキープするためにも、できるだけ要介護者自身で歯磨きをしてもらうことが大切です。
まずは要介護者のお口の状態を確認し、正しいサポートを見極めましょう。