介護で使う「スポンジブラシ」どのぐらいの頻度で交換すればいいの?
2022.11
高齢者の身体的な健康を維持するためにも欠かすことができない「口腔ケア」ですが、口内のトラブルを抱えている高齢者も多く、ケアに困るといったお悩みがあるのではないでしょうか。
そこで、おすすめするのが、優しく口腔ケアができる「スポンジブラシ」です。
今回は、介護の現場でも取り入れやすいスポンジブラシの使い方や、交換時期について解説します。
スポンジブラシとは?
一般的な毛状のタイプではなく、名前の通りスポンジでできている棒状のブラシのことです。用途に合わせて様々な種類があり、スポンジの硬さや大きさ、形状、素材などに違いがあります。
毛を使って掻き出すのではなく、スポンジ部分で汚れを吸着して取り除きます。そのため、スポンジの形は用途に合わせて様々な形状があり、星型・花型などに加工されたものもあります。スポンジ部分の色は血液との見分けがつきやすいように黄色が多いようです。お口のケアをした際に出血していないか、確認しやすくなっています。
スポンジブラシは、要介護者のお口の大きさに合わせて先端のスポンジ部分の大きさを考える必要があります。例えば、お口を大きく開けることができない方もいらっしゃるので、その場合は小さめのスポンジを選びます。
また、軸の部分の長さも様々です。一般的には短い方が使いやすいとされています。しかし、まれに要介護者に意図せずに噛まれてしまうというデメリットもあり、軸の部分が長いものもあります。
スポンジブラシは、お口の中の粘膜を綺麗にする目的で使用されますが、その他にも口腔粘膜のマッサージや舌苔(ぜったい)の除去などにも使用することができます。
舌苔の除去には一般的に舌ブラシを使用することが多いですが、舌を清掃すると嘔吐反応が出てしまう方もいます。そんな時は先端が柔らかいスポンジでできているスポンジブラシを使用することで、舌の掃除に慣れるよう練習することにも役立ちます。
さらに、歯磨きをする前に大まかな汚れを取るためにもスポンジブラシは使用されることがあります。いきなり歯ブラシをお口に入れることに抵抗がある方やお口の中に痛み等がある方には、柔らかい素材のスポンジブラシである程度の汚れを取っておくと歯ブラシでのお口の清掃に時間をかけないですむので、介護者の負担を低減することができます。
介護でスポンジブラシを使う理由
加齢とともにお口の状態も変化していきます。例えば、唾液の量が減りお口の中が乾燥してしまうという症状が特によく知られています。お口の中の粘膜は適度な湿度を保つことで保護効果をもたらしますが、乾燥してしまうとその効果が弱まり、傷がつきやすい状況に陥ってしまいます。
その傷が感染症や口内炎の原因となる恐れがあり、免疫力が下がっている要介護者にとって感染症は致命的になります。そうならないためにも、お口の中は優しくケアする必要があります。ゴシゴシ歯を磨く、というよりもお口の中の粘膜ケアをする感覚で行うため、硬いブラシではなくスポンジブラシを使って優しくケアします。
また、使用する側が介護に慣れていない方でも比較的安全に口腔ケアを行うことができるのもスポンジブラシのポイントです。
スポンジブラシの基本的な使い方とは?
まずはスポンジ部分を水または洗浄液に浸します。
水分がたれ落ちない程度に水分を絞ります。スポンジの水分が多すぎると、誤って液体が気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎に繋がる恐れもあるため注意が必要です。
スポンジブラシの動かし方は、奥から手前に動かすのが原則です。
上あご、歯茎、歯の当たっている頬をスポンジを使って優しくクルクルと回しながら汚れを拭き取る感覚で動かします。汚れの拭き取りもれのないよう、順にケアしていくようにしましょう。
スポンジブラシはずっと使っていていいの?どのくらいの頻度で交換するのが正解?
スポンジブラシを使用して口腔ケアを行ったあと、どうしていますか?
「スポンジの部分を洗って、また使用する」なんてこと、していませんか?
スポンジブラシのスポンジの部分は、基本的には使い捨てが正解です。
綺麗に洗えばまだ使えるし、勿体ないと思うかもしれませんが、スポンジの小さな穴に入ってしまった汚れは、どれだけ洗浄してもなかなか綺麗に除去できません。
吸着力がある分、汚れも離れにくい構造になっています。その汚れが雑菌を増やす原因になります。
菌が繁殖してしまったスポンジブラシでお口の中をケアすることで、感染症やその他の病気の要因に繋がる場合があります。スポンジブラシを再利用することは、せっかくお口の中を綺麗にしているのに、雑菌をまたお口に戻しているのと同じことですので、スポンジブラシのスポンジはその都度交換しましょう。
また、歯ブラシと同じく、一つのスポンジブラシを他の人と共有して使用することも、絶対にしてはいけません。
まとめ
要介護者の口腔ケアには必須アイテムとも言える「スポンジブラシ」。
決してお安いものではないので、毎回捨ててしまうのは勿体ないと思うかもしれませんが、それが原因で感染症や病気の一因になることもあるので、いつも清潔なスポンジブラシで口腔ケアを行いましょう。
また、「スポンジブラシ」と一言で言っても様々な種類のものがありますので、利用する方のお口の形態に合わせて適切な物を選びましょう。