寝たきりの人の歯磨きの方法は?ポイントを解説!

2023.07

寝たきりの人を介護する際、歯磨きをどうするとよいのか悩む介護者も少なくありません。
口腔ケアの大切さは分かっていても、要介護者に嫌がられたり、歯磨きの方法が正しいのか不安になったりすることもあるでしょう。

そこで今回は、寝たきりの人の歯磨きの方法について、そのポイントをご紹介します。
ポイントを押さえて、口腔トラブルを予防していきましょう。

寝たきりの人の歯磨きについて

まずは、寝たきりの人に行う歯磨きのやり方をご紹介していきます。

歯磨き前の準備

歯磨きを成功させるために、歯磨き前の準備を念入りに行いましょう。

まず介護者は、感染予防のためにマスクや手袋をします。マスクや手袋は、使い捨てタイプを用意するとよいでしょう。

次に、寝たきりの人の姿勢を調整します。歯磨きの際に誤嚥を防ぐため、姿勢には十分注意することがポイントです。ベットの背が動くときには、要介護者が45度から60度起こした姿勢になるように調整してください。

クッションで頭や背中、足を支えると、からだがずり落ちにくくなります。寝たきりの人の顎をなるべく引いた状態で歯磨きができるようにしましょう。

起こした姿勢を取ることが難しいときは、要介護者の負担になりにくい横向きの姿勢で歯磨きを行います。介護者自身も無理な姿勢にならないよう、自分が要介護者に歯磨きしやすい姿勢かどうかも確認します。

お互いによい姿勢が取れたら、歯磨きの前に口腔内を観察します。トラブルが起きているときは、早めにドクターに相談しましょう。

うがい

うがいができるときは、ブクブクうがいをしてもらいます。起き上がるのが困難で難しい場合は、口腔用スポンジブラシを使う方法がおすすめです。食べカスや汚れを綺麗にしておくと、歯磨きがしやすくなるでしょう。

また、お口の中が乾燥しているときには、保湿ジェルを塗っておくとケアがしやすくなります。

歯磨き

歯があるときは、歯ブラシで念入りに歯を磨いていきます。入れ歯の場合は入れ歯を外して、残った歯を磨きましょう。歯みがき剤を使うかどうかは、要介護者の希望を聞いた上で行いましょう。ただし歯みがき剤が多すぎると、拭き取りに手間がかかる可能性があります。また誤嚥につながる恐れもあるので、使用量に気を付けましょう。

寝たきりの人には、水なしで使えて吸い取りや拭き取りがしやすいジェルタイプの歯みがき剤を使う方法もおすすめです。

歯みがき剤の準備ができたら、歯ブラシを鉛筆のように持ちましょう。90度から45度の角度で、力を入れすぎないように優しく動かしながら磨きます。奥歯の溝や歯も丁寧に磨いてください。

また歯磨きの際は、声かけをすることが大切なポイントです。不快感がないか、次はどの部分を歯磨きするのかなどを言葉にしながら行うと、要介護者の安心感につながります。

さらに歯ブラシの固さは、寝たきりの人の状況に合わせて変えていきましょう。誤嚥する可能性が高いときには、吸引器付きブラシを利用することも検討してみてください。

舌や粘膜の清掃

歯磨きの際に、舌や粘膜の清掃も行うと口腔内のトラブル予防につながります。口腔用スポンジブラシを使い、優しく舌や頬の汚れを取り除いていきましょう。とくに舌の表面に付着する白い苔状の「舌苔(ぜったい)」は、口臭や味覚に影響します。丁寧にケアしていきましょう。

最後にうがいや拭き取りを行って、歯磨きは終了です。このとき口の中が乾燥しているようであれば、再度保湿ジェルを塗るとよいでしょう。

寝たきりの人の歯磨きを介護する際のポイント

寝たきりの人の歯磨きを介護する際のポイントは3つあります。

  • 誤嚥に注意
  • 必要以上に手を貸さない
  • 乾燥を防ぐ

それぞれを詳しく解説していきます。

誤嚥に注意

寝たきりの人の歯磨きで注意すべきポイントは、誤嚥です。寝たきりの高齢者の多くは、口腔機能の衰えとともに、異物を押し返す機能が低下しています。誤嚥性肺炎のリスクが高い状態にあるので、注意しましょう。

余計な水分はウェットティッシュで拭き取ったり、吸引したりするようにします。また、うがいが難しいときには、水のいらない歯みがき剤を使うといった工夫もおすすめです。

必要以上に手を貸さない

寝たきりの人が自分で歯磨きができる状態であれば、必要以上に手を貸さないようにしましょう。本人の自立や意欲を失わないように心掛けるのが大切です。

使いやすい歯ブラシを用意したり、ベット上でも快適に歯磨きができるように環境を整えたりするとよいでしょう。

寝たきりの人が自分で行うときには、一通り終わったら歯磨き後の確認を行い、磨き残しがあればフォローします。本人の気持ちを尊重しながら、介助を行うことがポイントです。信頼関係も築けるでしょう。

乾燥を防ぐ

口の中が乾燥していると、歯磨き中に痛みを感じて嫌がられるときがあります。保湿ジェルを使い、乾燥ケアも行うとよいでしょう。とくに高齢者はお口が乾燥しやすい人が多いです。歯磨きの際には、お口の乾燥にも気を配るようにしましょう。

まとめ

寝たきりの人の歯磨きは、歯磨き前の準備をしっかりして、誤嚥に注意することがポイントです。さらに歯磨きの際にお口が乾燥していないかも、よく観察して対応するとよいでしょう。

声かけなどのコミュニケーションを取りながら、丁寧に歯磨きをして、要介護者の心身の健康を守るお手伝いをしていきましょう。