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寝たきり介護で気をつけたい「お口の乾燥」について
2022.11
冬になると、空気が乾燥して健康な人でも口が乾いたり喉の渇きが気になります。
さらに年齢を重ねると、様々な病気や飲んでいるお薬、噛む力の低下などが原因で唾液の分泌量が減り、お口の中はさらに乾燥しがちです。
お口が乾くと、ただただ不快になるだけでなく、様々な病気を引き起こす可能性もあると言われています。健康な方にとってもお口の乾燥は大敵ですが、体が思うように動かない、寝たきりの要介護者のお口の乾燥は、自身ではどうすることもできないので非常に辛いものであり、同時に周囲の方も注意しておきたいものです。
そこで、今回は寝たきりの方のお口の乾燥の原因・対策についてお話します。
お口が乾燥するのはなぜ？
一般的に、お口が乾燥するのは唾液の分泌量が減ることが原因とされています。
私達の生活で当たり前のように行っている食事や会話には、唾液の存在が大きく関わっています。唾液が分泌されることで、快適に食事ができたり、安定した会話ができるのです。
しかし、加齢とともに唾液の分泌量が減ることで、食事もスムーズに摂ることができず、会話をするのも辛くなってしまいます。では、なぜ加齢とともに唾液の分泌量が減るのでしょうか。
一般的には加齢による筋力の衰え、全身の水分量の減少、ホルモンバランスが変化することが唾液の分泌量減少につながるとされています。
また、他にも服用しているお薬が原因となることもあるようです。「利尿剤」、アレルギーや咳・鼻づまりのお薬「抗ヒスタミン剤」、ぜんそくの治療薬「抗コリン剤」、パーキンソン症候群の症状を抑える「抗パーキンソン剤」、「抗うつ薬」などが該当します。これらのお薬は勝手に服用をやめることができないものなので、お口のケアを見直すことでの対策が必要です。
お口が乾燥するとどうなる？
唾液の分泌量が減りお口が乾燥してしまうと、様々な問題が起こります。
- 食事が摂りにくくなる
- 食べ物が飲み込みにくくなる
- 会話・発音がしにくくなる
食事や会話が楽しめなくなることは、要介護者の体の健康だけでなく心の健康にも大きな影響を及ぼします。深刻な状態になると、うつ病などの疾患へと進行してしまう可能性さえあると言われています。
また、唾液にはお口の中の汚れを洗い流す自浄作用や、消化酵素アミラーゼによる胃や腸での消化や吸収を促進する作用があります。また抗菌・免疫作用などの体を守る力もあり、細菌の増殖を防ぐために必要不可欠な働きがあります。
そんな唾液の分泌が減ることで、感染症にかかりやすくなってしまったり、虫歯や歯周病、口内炎などのお口の中のトラブルにつながるリスクが高くなってしまいます。
寝たきりの要介護者にとっては、これらの症状をうまく伝えることが難しく、苦痛が長く続くことになりかねません。
やはりここでも周囲の介護者による意識や注意が必要です。
寝たきり介護でのお口の乾燥対策、どうしたらいい？
ここまで、お口の乾燥の原因とお口の乾燥が原因で引き起こされる様々な症状をご紹介しました。では、その対策はどうすればいいのでしょうか。
介護の現場、特に寝たきりの方の介護でのお口の乾燥対策はどうすればよいのか解説します。
寝たきり介護の場合、要介護者自身が対策をすることが難しいので介護者のお手伝いが必要不可欠です。
また、痛い・辛いというサインを出すこともできない場合が多いので、注意深く観察しておく必要があります。
室内の湿度を上げる
湿度を55～60％に上げると一般的に乾燥を防ぐことができると言われています。
加湿器等を上手に利用し、お部屋の湿度を一定に保つようにしましょう。
十分な水分を摂る
寝たきりの方の場合、水分を摂取する時は体勢に十分気を付けましょう。誤嚥しないよう上体を起こすなど注意する必要があります。
会話をする
会話ができる状態の要介護者の場合は、会話はとてもおすすめです。会話をすることで口腔内が刺激され、唾液の分泌を助けることにつながります。お話する行動がお口の周りの筋肉を動かし、さらに脳を活性化させ脳機能の衰えを防ぎます。脳機能の活性化が唾液の分泌を促し、お口の乾燥を防ぐことにつながります。
乾燥対策の口腔ケアグッズを使う
お口の乾燥を和らげる口腔ケアグッズは、お口の中を保湿する作用があります。
- スプレータイプ
- ジェルタイプ
- マウスウォッシュタイプ
お口の乾燥が気になった時に手軽にシュッとスプレーし、お口を保湿します。
お口の中の粘膜に密着して、保湿の持続時間が長いのがジェルタイプのメリットです。粘度が高いためお口の中に違和感を持たれる方もいらっしゃるので、使用時には注意が必要です。
お口の中を洗浄しながら保湿するタイプです。一般的なお口を洗浄するためのマウスウォッシュよりとろみがついていてお口の中を保湿します。
まとめ
お口の乾燥は不快なだけでなく、様々な病気やお口のトラブルの原因につながります。
寝たきりの方の場合、自身で予防することが難しいので、介護者のケアが必須になります。
要介護者ひとりひとりに合った口腔ケアを行い、健康寿命を少しでも長く、少しでも快適に過ごせるようサポートしたいですね。
