高齢の患者様との関わりについて、訪問歯科衛生士の役割とは

2023.08

皆さん、こんにちは、歯科衛生士の中村です。
今回は、訪問歯科衛生士と高齢の患者様との関係について考えていきましょう。

基本の「コミュニケーション」について

訪問歯科衛生士と高齢の患者様の関係、つまり口腔ケアは一朝一夕で終わるものではありません。可能な限り長く続けることが重要ですし、ずっと大切にしたい関係ですね。

だからこそお互いにストレスや負担がなく、心地よい時間にするための努力は必要不可欠です。
それではどんな工夫や意識が必要なのでしょうか?

なぜコミュニケーションが必要なのか

それは、本当に必要なケアを提供するためです。患者様が何にお困りなのか、どうしてほしいのか、何が嫌なのか、今日はどんな気分なのかなど、把握しておきたいことはたくさんあります。患者様に関する情報は多いに越したことはありません。

また、良質なコミュニケーションをとることで信頼を得ることもできます。コミュニケーションによる信頼を得るためのポイントとして、まず「自分から心を開く」という点があります。笑顔、ご挨拶、余裕をもった落ち着いた態度、相手に対する好意や関心を示すことなどがあげられます。

先輩の歯科衛生士さんの言葉で『心が開けばお口が開く』というものがあるのですが、その通りだと思います。お口の中という極めてプライベートな場所をみせていただくには、それなりの関係性が必要だということです。

コミュニケーションの種類

私たち歯科衛生士が使用するコミュニケーションには大きく分けて2種類あります。
それは、言葉を用いる「対話コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」です。対話も大切ですが、同じくらい非言語も大切です。

非言語コミュニケーションにはボディランゲージや表情、目線、姿勢、動作があります。
人生の先輩である高齢者の方々は、私たちよりも観察力や感じとる力が優れていると感じたことはありませんか?

たとえ目が見えてなくても心の目で見ている。
耳が聞こえなくても心の声で聞いている。
意識障害があっても気配で感じている。

常にこのような意識を持ってコミュニケーションに臨みましょう。
また、時には「沈黙」も必要となることも頭に入れておきましょう。これも一つの非言語コミュニケーションです。
会話の苦手な患者様もいらっしゃいます。その方がその方らしくいられる環境作りをすることも思いやりのひとつです。

高齢者への声かけのポイントとマナー

基本姿勢として、「正面から目を見て、低めのトーンでゆっくりと話す」ことをいつも心掛けるようにします。
そして、年長者に対する敬意と尊敬の眼差し、そしていかなる時も敬語を使うことを忘れないでください。
さらに、患者様の周りの人にも感謝と気遣いを忘れず、多方面への気配りとホスピタリティを持ちましょう。

高齢の患者様と関わる心構え

一般的なサービス業との大きな違いとして、お相手が高齢者やお身体が不自由な場合もあるため、患者様の容態が急変するなどして、ケアの終わりが突然来ることが挙げられます。
常に一期一会の意識を持って後悔のないよう、持てるホスピタリティを最大限発揮することも大切にしましょう。

真のホスピタリティとは

訪問歯科に限らず、しばしばホスピタリティの言葉を聞くことがあると思います。
その意味は「心からのおもてなし」「深い思いやり」ですが、深く考えたことはありますか?
日本ホスピタリティ推進協会によると、ホスピタリティとは

【一方通行のものではなく、主人が客人のために行う行動に対して、それを受ける客人も感謝の気持ちを持ち、客人が喜びを感じていることが主人に伝わることで、共に喜びを共有するという関係が成立することが必要だ。すなわち、ホスピタリティは両者の間に「相互満足」があってこそ成立する。
つまり、主客の両方がお互いに満足し、それによって信頼関係を強め、共に価値を高めていく「共創」がホスピタリティにおける重要なキーワードなのである。】

とあります。私は初めてこれを知ったとき、目から鱗が落ちました。
確かに一方が相手に尽くすことも美徳かもしれませんが、それではもう一方に喜びが偏ってしまいます。
真のホスピタリティとは、自分と相手の双方が喜びを感じることです。日々のケアの中でこの点を追求していけば、自然とお互いに快適で、ずっと続けていきたいものになるはずです。
患者様に対して思いやりを持つことと同じくらい、自分に対しても思いやりを持つことを重視しましょう。

満足度の高いケアとは

実際のケアにおける満足度の高さを左右する要素としては、

  • 痛みを与えない、痛みを感じるまでやらない
  • 患者様がしてほしいことからする、主訴を最優先する
  • 素早く終わらせる

また、これらを補助してくれるアイテムとして
美味しい
温かい(触る前に手をなるべく温めたり、ぬるま湯を使用したりする)
いい匂い、爽やか
気持ちがいい
 
といった点にこだわってアイテムを選ぶと良いでしょう。
薬用成分のみならず操作性や使用感の優れたアイテムがたくさん出ています。
慣れたアイテムばかりではなく、時々新しいものも取り入れて一緒に挑戦してみるのも、患者様にとって良い刺激になるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、お互いに快適にケアをするためにできることを考えました。

十分で良質なコミュニケーションの上に初めて成立する信頼関係。さらにその関係を快適に持続にしていくために、「お互いが喜びを感じる」ホスピタリティの精神があります。
そして確かな手技。これらが揃ってお互いに快適な口腔ケアが実現すると思います。

この記事が皆さんにとって少しでも参考になりますと幸いです。