要介護者には注意が必要!高齢者介護に必要な歯みがき剤の選び方
2022.08
口腔ケアグッズとしておなじみの「歯みがき剤」。しかし、介護が必要な高齢者には、どんな歯みがき剤でもいいというわけではありません。悩みやお口の状態に合った歯みがき剤を選ぶかどうかで、口腔ケアの質や効率も左右されます。
今回は高齢者が歯みがき剤を使う効果、高齢者介護におすすめ&NGな歯みがき剤、使うときの注意点を紹介します。
高齢者が歯みがき剤で得られる効果とは?
高齢者ならではの歯みがき剤の効果を紹介します。
むし歯予防
高齢者は歯の根っこが露出していたり、唾液の分泌量が減っていたりすることが多く、若いころよりもむし歯のリスクが高めです。歯みがき剤を使うことで、唾液不足で自浄できなかった雑菌を取り除き、歯の根っこをむし歯から守ります。
お口のトラブル対策
口臭や歯周病、乾燥など高齢者が抱えがちなトラブルの対策が、歯みがき剤で可能です。雑菌の繁殖を防いだり、潤いを与えたり、歯石を落ちやすくしたり、さっぱりする成分が入っていたりと、商品によってさまざまな特徴があります。
また、歯がツルツルになって歯垢や歯石が付きにくくなるため、汚れ防止も期待できます。
口腔ケアの時間が楽しみになる
お口の状態や悩みに合ったタイプの中から、さらに味や粘度など要介護者の好みで選ぶことができます。口腔ケアを楽しみにしてもらえると、協力を得られることもあるでしょう。
高齢者介護におすすめの歯みがき剤選びのポイント
要介護の高齢者に適している歯みがき剤のポイントは以下の2点です。
フッ素入り
高濃度のフッ素入りの歯みがき剤がおすすめです。フッ素が歯をコーティングしてくれるので、むし歯対策はもちろん、知覚過敏の症状が和らぐ効果もあります。
低刺激タイプ・吸引器適合タイプ
デリケートなお口に使用しやすい低刺激タイプや、うがいが難しい方にも使用できる吸引器で吸い取りやすいタイプもおすすめです。
口腔内の筋肉が衰えていたりする高齢者は、お口の中のものを吐き出すのが苦手。口腔ケア中に誤って歯みがき剤を飲み込まないように吸引器で吸い込みやすいものや、お口の刺激が少ない成分でできている歯みがき剤を選びましょう。
高齢者介護に注意が必要な歯みがき剤のポイント
成分によっては、症状がさらに悪化する場合もあるため、次のような歯みがき剤には注意が必要です。
研磨剤入り
歯の根っこは材質が柔らかいため、研磨剤入りの歯みがき剤は注意が必要です。
特に電動歯ブラシを使っている場合、手磨きよりも高速で歯が磨かれているため、要注意です。
顆粒入り
うまくうがいができない高齢者の方が顆粒入りの歯みがき剤を使うと、顆粒がお口の中に残ってしまいがちです。残った顆粒は、歯ぐきの炎症を引き起こしたり、歯周ポケットに入り込んで歯周病が悪化したりする場合があります。
泡立ちがいいタイプ
泡立ちが良すぎると、歯磨きをした気になって、まだ汚れが残ったままケアを終了してしまう可能性があります。
また、泡で口周りが汚れやすいため、介護される高齢者が不快になったり、介助者の手間が増えたりなど、口腔ケアの質や効率が落ちてしまいがちです。
高齢者介護で歯みがき剤を使うときの注意点
高齢者の口腔ケアで歯みがき剤を使う時は、次のような点に注意しましょう。
歯みがき剤をつけすぎない
歯みがき剤は、小豆1粒分から大豆1粒分が適量と言われています。
「意外に少ないな」と思われるかもしれませんが、歯の汚れを落とすのは歯みがき剤ではなく、歯ブラシやフロスなどです。
歯みがき剤の量が多くても効果は変わりません。むしろ口腔ケアの質や効率が悪くなる可能性があるため、歯みがき剤は適量を守りましょう。
歯みがき剤に水を足さない
歯ブラシ、または歯みがき剤を歯ブラシに出した後、水に濡らしていませんか?
実は歯みがき剤に水を加えると、必要以上に泡立ってしまったり、配合されているフッ素濃度が下がったりして、十分な効果が得られなくなります。
歯みがき剤には水をつけず、そのまま使用しましょう。唾液不足でお口の中が乾燥気味の場合は、潤い効果のある歯磨き粉を使用する、もしくは歯科医師に相談してください。
入れ歯は専用歯みがき剤で
歯みがき剤は天然の歯を磨くためのものです。天然の歯よりも柔らかい素材で作られている入れ歯を歯みがき剤で磨いてしまうと、表面を傷つけるおそれがあります。
傷ついた部分には細菌やカビが繁殖しやすく、不衛生な入れ歯を使い続けると誤嚥性肺炎につながるとも言われています。かならず入れ歯専用の歯みがき剤を使いましょう。
まとめ
正しいブラッシングと悩みに合った歯みがき剤を使うことで、要介護の高齢者の歯をより効果的に守ることができます。まずは、残っている歯に優しい「研磨剤不使用」の中から探してみてはいかがでしょうか。