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訪問歯科と外来歯科の役割の違いは?むし歯や歯周病予防ができるケア方法を紹介

2023.10

みなさんこんにちは!歯科衛生士の久保です。
今回のテーマは「訪問歯科と外来歯科の役割の違い」です。

外来歯科は歯科医院やクリニックで提供され、患者様は予約をし、医療機関を訪れて治療を受けます。
一般的に、外来歯科には歯科治療ための設備が十分に整っており、専用ユニットの上で診療ができます。

訪問歯科は、患者様の自宅や高齢者施設、リハビリテーションセンターなどが診療場所となり、歯科医療チームが訪問して治療を行います。
機材や資材も持ち運べるものに限られ、ユニットではなくベッドサイドでの診療も多くなります。

外来歯科と比較して、できることがどうしても限られてしまうなか、訪問歯科を必要としている患者様は多くいらっしゃいます。
一人一人の患者様に適切な診療を効率よく提供できると良いですよね。

今回は、外来歯科と訪問歯科の役割の違いを意識しながら、訪問歯科に求められる治療やケアについて探っていきたいと思います。

外来歯科と訪問歯科の患者層の違い

外来歯科に訪れる患者様の特徴

①幅広い年齢層

外来歯科は、幼児から高齢者まで、あらゆる年齢層の患者様が診療を受けにいらっしゃいます。
幼少期から高齢期までのあらゆる口腔内の特徴や、個々の生活スタイルを考慮しながらケアに当たります。

②身体的制約が少ない

外来歯科に訪れる多くの患者様は、身体的に健康である方や、持病をコントロールして自立されている方がほとんどです。
ユニットにも問題なく座ることができ、治療に最適な環境下で診察することができます。

③治療に協力的

歯科外来でお会いするほとんどの患者様は、口腔内の疾患を治したり、予防したいという明確な目的意識を持って来院されることが多いため、治療に協力的です。

訪問歯科を必要とする患者様の特徴

①高齢者

訪問歯科は、高齢者や高齢者施設に住んでいる患者様に対する歯科治療を提供することが多く、患者様の年齢層が必然的に高くなります。
高齢になるほど身体的活動が制限され、歯科治療を受けるために自宅や施設から外出することが難しくなります。

②身体的制約や慢性疾患がある

訪問歯科を必要とする患者様は、高齢者に限らず身体的な制約を持つ方が多く、車椅子を使用していたり、ベッド上で治療を受けたりする場合があります。
また、糖尿病や心臓病などの慢性疾患を抱えていることも多いため、歯科治療においてもその健康状態を考慮する必要があります。

③治療への協力が得られないことも

訪問歯科を提供する患者様は、外来歯科と異なり治療に非協力的な場合がしばしば見受けられます。
認知機能の低下により治療やケアの必要性を理解できず、開口してもらえなかったり、体を動かして拒否を示したりすることもあります。

訪問歯科で行うべき治療・ケアとは?

1.求められることをできる範囲で行う

患者様の口腔内を健康にすることは、訪問歯科、外来歯科に関わらずとても重要な目的です。
しかし、訪問歯科では上記のように様々な制約があり、治療の完璧なゴールを目指すことが難しい面もあります。

例えば、歯周病で多くの歯に重度の動揺が見られる患者様の場合を考えてみましょう。
外来歯科に通院できる健康な方であれば、歯周外科で徹底的にケアし、頻回な歯周基本治療を継続するといった理想的な治療が可能です。

対して、訪問歯科ではどうでしょうか?
全身状態の悪い患者様は外科処置ができない場合もあります。歯周基本治療の間、ずっと開口していることが難しい方もいます。

完璧な治療を目指すのではなく、患者様にとって最適な治療とは何かを考え、それを限られた時間のなかで提供することが重要です。

2.口腔内トラブルを予防する口腔ケアの提供

訪問歯科では、歯科疾患が進行してしまうと治療が難しく、患者様にとっても術者にとっても負担が大きくなります。
そのため、むし歯や歯周病を予防する口腔ケアがとても大切になります。

訪問歯科では長時間の開口が難しい患者様も多いため、口腔内を効率よく清掃できるスポンジブラシの使用がおすすめです。
表面に凹凸のあるスポンジブラシなら、歯のすきまの汚れまでしっかりとりのぞくことができます。

また、高濃度フッ素が配合されている歯みがき剤を使用するのも良いでしょう。
水で流さなくても良いタイプの歯みがき剤は、うがいや吐き出しが困難な患者様にも使いやすく、ケアの負担を軽減してくれます。

3.ご家族・介護者の悩みや希望に耳を傾ける

治療やケアに携わる際、患者様ご本人の希望はとても大切です。
しかし、訪問歯科では患者様と意思疎通が取れない場面も多くあります。
患者様の日々の介護をしている方の悩みや希望を、しっかりと把握しておきましょう。
周りの人たちの悩みを解決することは、結果的に患者様本人のQOL向上につながります。

まとめ

いかがでしたか?
訪問歯科で大切なのは、工夫しながら治療を行い、患者様の負担をできる限り減らすことです。
どんなときも患者様の体調を第一に考え、無理がない範囲で最大限のケアを提供していきましょう!