要介護者がお口を開けてくれない!口腔ケアを受けてもらうためのポイントを解説
2022.12
高齢者にとって、誤嚥性肺炎やその他の感染症予防のために、「口腔ケア」はとても大切なことです。
また、自分で口腔ケアをすることが難しい要介護者にとって、介護者が行う口腔ケアは時に苦痛に感じることもあります。
口腔ケアを苦痛に感じてしまうと、お口を開けてくれなくて困る・・・。
そんなお悩みはありませんか?
そこで今回は、要介護者が「お口を開けてくれない」といった問題の対処法と、スムーズにお口を開けてくれるための「ツボ」をご紹介します。
お口を開けてくれない理由はなに?
口腔ケアをしたいけど、お口を開けてくれない・・・。
その理由は一体何なのでしょうか。
お口が開かない理由は、
- 病的原因で開けることができない
- 認知機能が原因で開けることができない
- 心理的原因で開けたくない
この3種類になります。
これらを大きく分けると、意識的にお口を開けない「開口拒否」と、何らかの原因で開けることができない「開口障害」とに分けることができます。
「開口障害」は、医師・専門医の受診を要します。
一方、「開口拒否」の場合、何が原因で拒否をしているのかを知る必要があります。
普段の生活で普通に会話ができていたり、食事を問題なくとることができているのに、口腔ケアの時だけお口を開けてくれない・・・。
その背景には一体どんな理由があるのかを探る必要があります。
「かつて口腔ケアで痛い思いをした」
「そもそも、今、お口の中が痛いから開けたくない、開けられない」
「お口を他人に見られたくない」
そこには様々な理由があるはずです。
その理由を知ることができれば、おのずと対処法が見つかります。
お口が開けられない理由別対処法をご紹介!
お口を開けられない理由が分かったら、その理由に対する対処法をご紹介します。
まず、「開口拒否」、「開口障害」ともに共通して言えることは、決して無理強いをして口腔ケアをしないということです。
口腔障害が原因
なんらかの病気が原因でお口が開けられない「口腔障害」では、本人の意に反して開口できない場合もあります。
本当はお口を開けたいのに、体がうまく反応しないなど、お口の周りの筋肉を動かすことができない「口腔障害」の場合は、専門医・歯科医師の診察が最優先です。
口腔ケアができる状態になれば、アドバイス等をもらいながら適切な口腔ケアを行っていきましょう。
開口拒否がある
「開口拒否」の場合はその理由は様々です。
以前された口腔ケアのイメージが悪く、お口を開けることができないといった心理的要因でお口が開けられない場合、まず大切なことはコミュニケーションをとることです。
「歯をきれいにしましょうね。さっぱりしますよ」など、これから行う口腔ケアについて笑顔で声をかけましょう。その際に、口腔ケアグッズ(歯ブラシなど)を見せると、さらに安心感をもってもらうことができます。
ここでのポイントは、優しく声かけし不快感や口腔ケアに対する恐怖を感じさせないということです。また、お口の中を触られることへの抵抗がなくなり、最終的に口腔ケアが「気持ちいい」と感じてもらえるまで根気強く行いましょう。
口の中の痛みが原因
次に、「そもそも、今お口の中が痛くて口腔ケアをしたくない」という理由でお口が開けられない場合です。
その場合、まず何が原因で痛みがあるのかを検査する必要があります。
虫歯や歯周病が原因の場合、口腔ケアの前にその治療が必要ですので、歯科医院を受診しましょう。
また、はっきりした理由がなく痛み等を訴える場合は、無理強いをしない範囲で口腔ケアを行います。
要介護者の表情を注視し、なるべく短時間で口腔ケアを終了させましょう。必要なケアを最低限行うだけでも構いません。
お口の中を綺麗にすることで、現状の痛み等がなくなる場合もあります。
口腔ケアは、病気や感染症予防のために大切なことです。
機械的に行うのではなく、介護を受けられる方の表情や行動をじっくり観察しながら口腔ケアを行いましょう。
開口マッサージやツボ刺激で開きやすいお口に!
加齢とともに体の筋肉がこわばり、ちょっとした動きをするのも負荷がかかると言われています。
それはお口周りも同じです。加齢とともにお口周りの筋肉もこわばり、開きにくくなります。
そんな時は「開口マッサージ」を行ってみましょう。
まずは、過敏になっている唇の緊張をほぐします。
唇に沿って人差し指を当てて、ゆっくりと押し上げたり押し下げたりします。
この動作で唇の緊張がほぐれて、少しずつ口を開けることができるようになります。
開口マッサージがうまくいったら、次はツボの刺激です。
「Kポイント刺激法」でツボを刺激してみてください。
「Kポイント」とは、上下の奥歯の突き当りのやや内側の部分を指します。
方法は簡単です。
軽く開いた口に、人差し指をゆっくりと入れ、歯列に沿って奥歯の方向に進みます。
上下の奥歯の突き当りにたどり着いたら、その内側を刺激していきます。刺激を与えることで、「食いしばり」がほどけて口が開けやすくなります。
まとめ
健康管理のためにも重要な口腔ケアですが、ケアをしたくてもお口を開けてもらえず、ケアができない・・・。
そんな時は、冷静に、決して無理をすることなく対応しましょう。
今回ご紹介したマッサージやツボの刺激などを取り入れながら、根気よく、じっくりと向き合っていきましょう。口腔ケアはとても気持ちのいいものだと伝われば、拒絶反応もなくなり、スムーズに口腔ケアができるようになるかもしれません。