お口のケアをしている時に噛まれる?口腔ケア時の開口拒否について
2022.12
認知症の方の口腔ケア中に噛まれてしまった!!
お口のケアをしたいのに、噛まれるからできない・・・。
こんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、認知症や要介護の方の口腔ケアについてまとめていきます。
認知症・要介護の方の口腔ケアの重要性
口腔ケアはどんな人にとっても大切なことです。
むし歯や歯周病、口臭の予防だけではなく、糖尿病やその他の病気を予防するためにも、口腔ケアはとても大切なのです。
特に認知症や要介護の方にとって、口腔ケアは重要な意味があると言われています。
口腔ケアの役割として、例えば以下のことが挙げられます。
- 認知機能の進行を穏やかにする
- 栄養不足を防ぐ
- 食欲が増す
- お口の機能の維持
- 誤嚥性肺炎を防ぐ
お口の中を綺麗にしておくことで、唾液の分泌が促進されお口の中の汚れが洗い流され、むし歯や歯周病予防に繋がります。
そして、お口の中が健康だと食欲が増し、しっかりと食事ができるので栄養不足を防ぐことができます。
また、しっかりと咀嚼することができるので、飲み込む力が衰えず、誤嚥性肺炎を予防することができます。
お口の機能は、生活の機能に直接関係していることが多いので、口腔ケアを行うことでお口の健康はもちろん、体の健康も維持することができるのです。
お口は「食べる」「話す」という機能を備えています。
要介護や認知症の方は、加齢とともにこれらの機能が衰えることで認知症の症状などが進行する恐れがあります。また、お口の機能の低下から食欲不振、コミュニケーションが低下し、QOLの低下が起こりやすくなります。
つまり、高齢者、要介護や認知症の方にとって、口腔ケアはとても重要なのです。
口腔ケア中に噛まれる!噛む理由は?それぞれの対策は?
要介護や認知症の方にとって、口腔ケアはとても重要なことだから、しっかりケアしないと!と、介護される方は日々頑張って口腔ケアをされていると思います。
そんな口腔ケア中に「指を噛まれた」経験をされた方はいらっしゃいませんか?
一度そんな経験をしてしまうと、口腔ケアを行うことが怖くなってしまう介護士さんもいらっしゃると言います。みなさん、なんとかして噛まれないように努力されていると思います。
では、なぜ口腔ケア中に噛んでしまうのでしょうか。噛まれないようにするには、まず、噛んでしまう理由を探る必要があります。
まず考えられるのは、「口腔ケア」を拒否しているということです。
以前に行った口腔ケアで痛い思いをしてしまい、それがトラウマになってお口を閉じてしまう(噛んでしまう)といった理由が考えられます。
お口の中はとてもデリケートです。自分のタイミングでお口のケアをしている場合はなんとも感じないことでも、介護してくれる人にゴシゴシされてしまうと痛いと感じる方もいらっしゃいます。
少しでも痛そうな表情や拒絶している表情の時は無理に口腔ケアを続けるのではなく、お声がけをして一旦中断しましょう。
次に考えられるのは人間の「反射行動」によって噛んでしまうということです。
認知症や要介護の方の口腔ケアは、ご本人ではなく介護士など他人が行います。
自分のタイミングでお口のケアをすることができる方とは違い、要介護や認知症の方にとって、他人が行う口腔ケアは決してリラックスできることではありません。
人間の舌は異物が上に乗ると、口を閉じようとする反射行動がとられます。
したがって、口腔ケア中はお口の中に異物が入るので、自然とお口が閉じる(噛んでしまう)ことに繋がります。
この行動は至って普通で、人間の当たり前の行動だということです。
また、舌だけでなく歯の上や頬の近くに異物があれば、人間は口を閉じる(噛む)行動をとってしまうのです。
これは「反射行動」なので、どうすることもできないのですが、大切なポイントはお口の中に長時間口腔ケアグッズなどを入れっぱなしにしないということです。
できるだけスピード感を持ってケアを行っていくということがポイントです。
そして介護者の指を置く場所は、要介護者の歯の内側に入れないということです。
歯の外側に指を置くようにしてケアをすると噛まれるリスクが減ります。
また、使用するグッズについても工夫が必要です。
硬めのブラシを使用するのではなく、柔らかめのブラシを使用します。
ヘッドが小さめのブラシを使用し、細部までスピード感を持ってケアしていきましょう。
そして、口腔ケアを行う介護士の方の防護も大切です。
「指ガード」という口腔ケアを行う介護者用のグッズがあります。これをつけてケアを行うことで、要介護者と介護者の双方が気持ちよく口腔ケアを行うことができるでしょう。
口腔ケア時の開口拒否をどう乗り越える?
いざ、口腔ケアをしようと思っても、お口を開けてくれない「開口拒否」があったら、とても困りますね。
開口拒否には大きく分けて二種類のパターンがあります。
「開けることができない」と「開けたくない」です。
「開けることができない」開口拒否の場合は、認知症やその他の病気などの理由から物理的に開けることができない状態です。
この場合は、決して無理やり開口しようとしないことが大切です。
「開けたくない」開口拒否の場合、原因は様々です。
いずれにしても、口腔ケアに対して恐怖心や不安からくる抵抗感による開口拒否の場合が多いので、その場合はなるべく痛くならない口腔ケアを心がけ、心地よい口腔ケアを行います。
まとめ
いかがでしたか。今回は、口腔ケア中の開口拒否についてまとめました。
介護者の方は日々、様々なトラブルと向き合いながら口腔ケアをされていることと思います。
どうしてもうまくいかない場合は、無理をせず時間を変えてみたり、口腔ケアのプログラムを変えてみたりと工夫して、お互い気持ちのいい口腔ケアを行ってみてください。